日傘の女

 ちょっとむかし、あるところに、飲み屋で酒を食らっては飲み屋の女に調子の良い事ばかりを言って居った、学校の先生が居ったそうな。女に嫁に来ないかと言って居ったので有る。
 茹だる様な夏の日の昼時で有った。珍しい西洋日傘を差した女が、余りの暑さに堪りかねて、石橋の所で小川の水でハンカチを濡らし、汗を拭って居った。
「お兄さん、真一様の家は未だ遠いのか」
「家の事か」「あんた、真一様の家の子か」
「あんた、其処で人がけいへんか見張っててんか」
「何かするんか」「ちょっと、尿をするよって」
「そんな所でして恥ずかし無いのんか」少年は目の遣り場に困ってしまった。
「漏らしてしまったらもっと恥ずかしいやろ」
「あー気持ちが良い、すーとしたわ」
「家の父に何の用や」
「ええ女やな、僕と結婚したろか」「呆れた、あんた、未だ子供やろ」

 父は飲み屋で酒を飲んで酔うては、何やら調子の良い話を女にして居ったので有る。女は家に着いて、騙された事に初めて気が付いたので有った。
「あんたは、わてを騙したんか」御清は父に詰め寄った。
 女は女手が無く、暴れ捲くった家の中を見て、呆れ返ってしまって居った。
 女は少年を扱き使っては大掃除を遣り出したので有る。家の中は綺麗に成ったが何やら、夜中の家の軋みが気に成り出した。父と継母が二階で何かをして居るので有った。

 或る日、学校から呼び出しが掛かった。
「先妻の子と旨く行って居られ無い様で、この作文に色々と・・・」
「何、わてが変態、あの子を虐めて快感を感じて居るてか、サディストやて、彼の阿呆が」
「わてが何をしたん、何で学校にまで叱られに行かんならあかんの」御清は又父に詰め寄った。
「この、阿呆たれ」賢治は叱られてしもうた。
 女は開き直るてしまったのか、下品な事を少年の前でもするので有った。鼻はかむはおならは放は。
 便所の扉もきっちり閉めずに用を足してしまうので有った。
 少年はそんな下品な継母が好きに成ってしもうたので有る。
 女は昼寝をして居ると、少年は添い寝をして、御乳を触ってしまうた。
「何時まで、御乳を触って居るのじゃ、まるでやや子みたいじゃのう」
「こら、何をする、そんな悪さをしては成らぬ」
 少年は我慢が出来無く成ってしもうた。継母と関係を持ってしまったので有る。たった一度の過ちで継母はややが出来てしもうたので有る。大変な事に成ってしもうたので有る。

「あんたは阿呆か、継母に恋して如何するねんや」少年に恋する御夏は心がおさまらない。
「うちが、嫁さんでは不服か」結婚を詰め寄った。
 継母の御腹が膨らんで来た時。調子の良い父が突然亡く成ってしもうた。
「わしらを見捨てて帰ってしまうのんか」
「わては騙されて此処に来たんやで、あんたの母親には成れんわ」
「わしが働く依って見捨てんといて」「学校は如何するねん」「辞める」「もうちょっとで卒業やんか」 少年は後少しで卒業だと言う学校を辞めてしまい、仕事に就いた。
 幼馴染の少女御夏はドサクサに紛れて押しかけ女房に遣って来てしもうたので有る。
「うちに逆らったら如何成るか分かって居るのう、又、尿を引っ掛けられたいのか」
 いやはや下品な女が他にも居ったで有る。
 継母は女の子を産んだが、産後の肥立が悪く亡く成ってしもうた。又又大変な事に成ってしもうたので有る。少年と少女は子を引き取りた。二人は何ぼ頑張っても自分の子は出来無かったそうな。少女は我が子の様に其の子を可愛がったそうな。

 娘は大きく成り、嫁いでしまったが。二人の珍奇な生活は続いた。
「結婚してあげる」又又、何時もの口癖が金曜日に成ると又始まるので有った。
「御尻を触らせてあげる」「何時まで御尻を触って居るのじゃ・・・」
「御乳を触らせてあげる」「何時まで御乳を触って居るのじゃ・・・」
「前を触らせてあげる」「何時まで前を触って居るのじゃ・・・」
「接吻させてあげる」
「こら、もっと真面目に致せ」男は御夏に又叱られてしもうた。御夏は四十を過ぎた良い年の女では有ったが、時々子供の様に甘えてしまうので有る。
「鼻をかんで」「尿をさして」「・・・」
 いやはや、男と女というものは・・・・


              2005−07−24−53−OSAKA



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