ビードロの目

 ビードロとは硝子の事で有る。氷で器を作る事も出来るが解けて流れてしまう。初めてギヤマンの器を手にした古代の人の驚愕が想像出来る。硝子は割れて捨てられてしまうので、残る名品の数も少ない。
 レンズの発明で人は今まで見る事の出来無かった小さい物や遠くの物が見える様に成った。理科の授業で顕微鏡を見て生物の細胞の精緻さに感動した人も多い筈。趣味で写真やビデオを撮影して楽しんで居る人も多い。ホームページで自分が撮影した自慢の映像を公開して居る人も居る。
 映画の撮影はカメラの存在を観客に感じさせ無いのが鉄則で有る。観客を神の目で見て居るかの様な錯覚を与える手法でも有る。最近はカメラも小型化して人が担いでの撮影が主流に成って居るが、レールを使っての舐めるような滑らか撮影ではカメラの存在を感じさせ無い。日常世界では其処にカメラが有る事自体が珍奇で有る。カメラの有る様な時は特異な時でも有る。
 紛争のニュース報道は撮影して居るカメラの位置で印象が変わる、警察側から撮影するとデモ隊も暴徒の様に映るし、デモ隊側から撮影すると機動隊の横暴が印象付けられる。報道も公平差も要求される。
 其処にカメラが有れば誰もしない筈の男女の睦言を延々と録り続けるアダルトビデオの世界は珍奇でも有る。観る人へのサービスか虚構の世界が丸判りでも有る。カメラに向かってのサービスでも有る。何度観ても腹の膨れない料理番組の如くでも有る。観ても満たされ無いと判って居ても需要が存在する不可思議な世界、奇異な嗜好性の強いマニアの世界でも有る。玩具箱に玩具が入りきれ無くとも、もっと玩具が欲しいと駄々を捏ねる童の如くでも有る。
 長い生命進化の内で目の取得は生命にとって大躍進で有る。目を持たぬ生物と目を取得した生物では大違いで有る。行動範囲も広がるし、餌の捕獲も進むし、天敵から身を守る事も出来る。動物が生命活動の本領を発揮出来る事と成る。以後は爆発的に進化が進んだ事が想像出来る。光を感じる丈の不完全な目が物が見える様に進化を遂げる為の膨大な時間を要した筈。進化の途中の器官、見え無い目、聞こえ耳、歩け無い脚、飛べ無い羽翼、進化の不思議で有る。特殊化した生物には進化の余地も少ない、人は特殊化の少ない唯一の高等生物でも有る。天文学的な時間の未来に於いては、人の中から別の種に進化を遂げる生物の可能性も有る。人は過去の生物の化石を調べ進化の系統図を造る事も出来るが、生物自身が将来如何進化するかは判ら無い、神のみが知る突然変異が関与する為でも有る。知性溢れる温和な人種が野蛮な人種に滅ぼされた過去の例も有る。
 目の素晴らしさは、映画の様に平面的に見えるので無く、3次元的に奥行きの有る、在るが儘に見える事で有る。目が二つ有る為に左右の僅かの違いで立体的に見える為でも有る。宗教の世界では二つの目の外に人の心を観る事の出来る3つ目の目を持った神仏が迄信仰の対象に成って居る。人の心が見え無い凡人のもどかしさの為でも有る。目は口程にものを言いと言う諺も有る。恋する男女は目を見詰め合って居る丈で想いが通じるものと信じたバッカリに婚期を逃してしまう人も多い。恥を掻くのを懼れ無い勇気を出して口に出す事も必要か。
 変化の激しい事の例えに猫の目を挙げる様に猫の目は明るさに敏感で有る、鼠を追って暗闇の床下に入り込んでも見える様にで有る。猫の優れた処で有るが悪魔のイメージに使われたりもする。爬虫類の目に似て居る為でも有る。昆虫の目は複眼で幾つもの目の寄り集まりで有る。蜘蛛は8個もの目を持って居るし、水面を泳ぐ生物は水中用と空中用に別れた目を持って居るもの迄居る、水と空気で屈折率が違う為でも有る。
 天空を舞う羽翼を持たぬ龍も物理的には空を飛翔出来無い、想像上の生き物の自由奔放差の特徴でも有る。本来は飛べ無い龍が天井から人々を睨み付けて居る、絵に画かれた龍が、実存の生物より生命感に溢れて居る。想像の生き物の立体彫刻も有るが中には珍奇な物も有る。立体化する事で不自然な進化の為か、実存しない事が判ってしまう為でも有る。蛾や蝶の中に猛禽類の目に似た模様を持った者も居る、脅して襲われるのを防いで居るので有る。
 昔のOS劇場でシネラマ方式の上映をして居た事が有る。大きな局面のスクリーンに3台の映写機で投影するので有った。「世界の七不思議」も上映して居た記憶が有る。子供の頃の話でも有る。映画の歴史はカメラの歴史でも有る。大画面に投影する為にはフィルムも大きな物を必要とする。フィルムが大きく成ると値段も高く成る。取り直しが大変な負担に成る。最近では取り直しの利くハイビジョンのビデオカメラで撮影したりもする。テレビの大型の薄型の普及で態々劇場に足を運ぶ人も少なく成った。自宅でDVDのレンタルを楽しむ人も多い。パソコンで映画のダウンロード販売も有る。観たい時間に見たい映画が観れるオンディマンドTV等のサービスも、自宅の居間の大型テレビで観れる。
 コンビにや駐車場や銀行等に設置されて居る防犯カメラは気持ちの良いものでは決して無いが、犯罪の防止に役立って居る。魚眼レンズを応用して全周を撮影し、パソコン上で観たい方向の見れる技術も有る観光に利用すると自分が実際に歩き廻って居る様な錯覚に陥る。鳥瞰図と言う不思議な地図が有る。飛行機の無かった昔、大空高く飛べる鳥なら此の様に見えたで有ろうとの想像図でも有る。ナスカの地上絵は神々に見せる為のもので、高い塔に登っても全貌は判ら無い程に大きい。
 星座図と言う不思議な図が有る、星と星を線で結び、想像を働かせ勝手に模様を付けて、神話に因んだ素敵な名前が付けられて居て、星占いにも利用されて居るが、実際の夜の天空上の星は線で結ばれ居る訳では無いので空想を膨らませる童心に返る心が必要でも有る。
 日本人は子供の頃から勉強好きで読書家も多い為か近眼で眼鏡を掛ける人も多い。コンタクトレンズを利用する人も居る。以前は目に異物を入れるのを懼れた人も多かったが最近ではソフトな物も売られて居る。歳を取ると老眼鏡の世話に成る必要が出て来るのは困ったもので有る。読めない辞書の小さい字を嘆く人も多い。大きな活字の辞書も売られて居るが高価で電話帳の様な部厚い物に成ってしまう。机の座右に大きな天眼鏡が必須と成る。大きなレンズは重いし直射日光が入って火事に成る危険も有るので保管には注意が必要で有るが。
 正倉院の宝物の中にはペルシャで作られビードロ(玻璃・瑠璃)の碗や瓶も有る。白瑠璃碗が特に有名で有る。既に切り子細工の技術が有ったので有る。シルクロードを破ら無い様に大事に駱駝で運んだ古代人の苦労が偲ばれる。ガラスは破れるし、長く砂に埋もれるとすりガラスの様に表面が鱗の様に白濁するので有る、古代のガラス器が保存が良く透明な儘で観られるのは奇跡に近い。ガラスは水晶の様な結晶では無いので、永遠と言う時を掛ければ飴の様に流れ落ちてしまう。
 目から鱗が落ちると言う諺も有る。今まで曇って良く見え無い事がスッキリ見える様に成る事で有る。腑に落ち無い事、心の迷いが拭い去られる事で有る。最近政治家の目も曇り勝ちで有る。百年先の事依り目先の人気に囚われる為でも有る。選挙の人気取りの為でも有る。
 最近のカメラはデジタルが主流に成りつつ有る、パソコンに取り込め加工しやすい為でも有る。画素数が上がっても、分子レベルで写るフイルムには及ば無い筈。ブレ無い様に三脚を使いシャッタースピードを抑えるのがコツか。一人で行った海外旅行で写真をは数多撮って来ても自分が一枚も写って居無い一人旅の侘しさも有る。言葉の判らぬ外国の寂しさでも有る。ポスター用の写真もデジタル処理され美人のモデルもより美人に修正される。コンピュータグラフィックスで此の世に居無い女優が食事をし、友達に携帯電話を掛け、恋人と恋をする珍奇な世界でも有る。旅の想い出、人生の想い出は死ぬと全て此の世から消え去ってしまうが、写真や日記に書き残して置けば、後世に残せる可能性も有る。ホームページで旅の記録を全世界に公開して居る人も居る。しかし、カメラでの撮影に気を取られ時を無駄にする観光客も多い、ジックリ吾目で眺め心眼を持って此の世の真を発見する旅行をする事が寛容か。
 旅をして困るのは老舗の暖簾の重さで有る、一見の客を断る風習も有る。店が客を撰ぶ理不尽な世界でも有る。最近古い御寺の御仏を拝観するのも拝観料の居る時代でも有る。信仰の対象の御仏で有ってもで有る。賽銭丈では維持でき無い事情も有るが。テレビでは古い御寺の御仏の紹介も有る。美しいく観える照明の効果も有る。素敵なナレーションで紹介される場合も多い。歴史の勉強をせずに神社仏閣を観て廻るても興味も続か無い。旅行の良さは三度楽しめる事で有る。行く前に色々調べ楽しめるし、実際に行って楽しめるし、後で写真や想い出書きを見て思い出して楽しめる事でも有る。
 最近では想い出作りに小型のハイビジョンカメラ迄売られて居る。テレビの大画面で再生出来る。家族全員で想い出を共有出来る。最初の子の写真は何処の家も多いが、三人目や四人目に成ると面倒に成るのか写真の枚数も少ない。親も忙しいので有る。横着心も表れる。おと子(末子)は損をするので有る。一番若くして死に別れるから特に可愛がる場合も有るが。
 世の中には写真に写されるのが嫌いな人も居る。昔の様に魂迄写し撮られると思う人は居無いが、若かりし青春の時には戻れ無い為でも有る。昔は良かったと嘆くひとも多い。社会も時代と共に良く成る訳では無い、栄枯盛衰は世の習い。カメラの暴力も有る。犯人は逃げて写真が無いのに、被害者が新聞の紙面に大きく写真が載る場合も有る。犯人と間違われそうで有る。災害で家や家族を失った被害者の避難所での悲しみの顔をひつっこく映す酷さも有る。
 テレビ電話はSFの世界の事と思って居たら、既にサービスが提供されて居る。装置其の物は普及しては居ないが相手側にも装置が有ればテレビ電話としての機能が利用出来る。パソコンでもカメラを取り付けるとインターネット網を利用して同等の事が出来る。カメラを通じて遠方の人々と会議も出来る。時間や出張費の節約に成る。










          2007−09−18−260−02−01−OSAKA



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